精霊に任せるのではなく
カンボは、アマゾンの先住民が古くから行ってきたセレモニーだ。フィロメデューサ・バイカラーという、樹上に棲むカエルの分泌物を、皮膚に作った小さな点から取り入れる。伝統的に「浄化」のために用いられてきた実践だ。
カンボの世界では、「シャーマンが精霊を呼んで、あとはカンボの精霊に働いてもらう」という形が一般的だ。スピリットコール(精霊を呼ぶ祈り)をして、あとは参加者それぞれの体と精霊のあいだで起きることに、任せる。それも、本物だと思う。
でも、俺のやり方は少し違う。俺にとってカンボセレモニーは、「精霊に任せる」場ではない。「俺の祈りが、場を動かす」場だ。
精霊は来る。カンボも働く。だがその上で、俺の祈りと霊能力が、参加者全員に向かって動き続ける。一人も取りこぼさないつもりで、全員が「よか」になるまで仕上げる——それを、自分の役割として引き受けている。これは、神がかりの話だ。
国際認定イボガシャーマンとして自分のセレモニーを主宰するようになって、何年もかけて体で覚えてきた流れがある。それを一度、ちゃんと言葉にしておきたい。今日は、その流れを11のフェーズに沿って整理してみる。
3つの弧
11のフェーズは、大きく3つのまとまりに分かれる。
弧①|繋ぐ ——場と人と霊界を結ぶ。
弧②|効かせる ——メディスンが効いているあいだ、俺が動き続ける。
弧③|降ろして、閉じる ——全員を着地させ、意図を回収する。
この順で、流れていく。
弧①|繋ぐ
フェーズ1|オープンセレモニー
全員が集まった段階で、始まる。
まずやるのは、チャーチ——セレモニーを行うその空間を、「神聖な場所」として、全員で共通認識を取ることだ。ただ人が集合しただけでは、まだ「場」は生まれていない。全員の意識が同じ一点に揃った瞬間に、場が立ち上がる。そこから、セレモニーが始まる。
フェーズ2|ヒアリング
一人ひとりの意図を、聞き出す。
カンボに来る理由は、人によって違う。何かと向き合いたい人、心を軽くしたい人、ただ「呼ばれた感じがして」来た人。その意図を、最初に本人の言葉にしてもらうことには、大きな意味がある。
この意図は、セレモニーの最後に、もう一度戻ってくる。始まりと終わりが意図で結ばれる——それが、後で書く「意図の円環」だ。
フェーズ3|コミュニケーション
ヒアリングをしながら、同時に、霊能力で感じ取っている。
言葉では言い表せないものが、そこにある。どれくらい溜まっているか。どこが滞っているか。その感触を掴んで、一人ひとりのショット数(カンボを載せる点の数)を決める。
カンボは、1ショットずつ載せていく。何ショット必要かは、その人の状態を感じて決める。体の反応を見ながら調整することもあるが、まずここで目安を掴んでおく。
フェーズ4|場を整える祈り
ここが、このセレモニーの土台になる。
俺の祈りには、順番がある。まず「空(くう)」を共振させる。自分の内側を空にして、その空を場に広げ、世界に広げていく。そして——ここが逆説的なのだが——意図もなく、ただ祈りを天に捧げる。
参加者には、意図を立ててもらった。でも、俺の祈りには意図がない。
「意図を持って祈る」のではなく、「意図を手放して、空になった状態で捧げる」。この違いが、でかい。祈りの強さは、意図の量ではなく、空の純度から来る。意図があると、その意図の枠の中にしか働けない。空になると、何にでも届く。
この空の祈りの上に、俺のすべての動きが乗っている。
弧②|効かせる
フェーズ5|メディスン運用
スピリットコールをして、カンボを1ショットずつ載せていく。
皮膚の点に載せると、反応が上がってくる。体温が上がり、心拍が強くなり、波が来る。アマゾンの先住民が古くから「浄化」と呼んできたプロセスが、その人の中で始まる。
俺はここから、参加者全員に、同時に動き続ける。
フェーズ6|ライトワーク〔常時の地〕
これが、このセレモニーを普通のカンボと分けているものだと思う。
俺はメディスンが効いているあいだ、ずっと、相手の魂に光を送り続けている。
「ライトワーク」という言葉は使い方が広いが、俺の言うライトワークは、相手の魂に光を送ることだ。光を送ると、そこに光が集まっていく感じがある——あくまで、俺の体感だ。物理で言うフォトン(光の粒子)が本当に凝集する、という話として証明できるものじゃない。ただ、意識を一点に向けたその先で、本人も気づいていない魂の輝きが、少しずつ取り戻されていくのを、俺は何度も見てきた。
これは特定のタイミングでやるのではなく、カンボが効いているあいだ、ずっと続けている。常に流れている「地」として動いている。
フェーズ7|エネルギーワーク〔頭打ち時〕
誰かが頭打ちしている、と感じた時に入る。
ライトワーク(魂への光)は常に届いているが、それでも、何かが引っかかって先へ進めなくなることがある。そういう時は、気合いを入れて、エネルギーで支える。俺のエネルギーを集中させて、相手に向ける。
ライトワークとエネルギーワークは、順番ではなく、層の違いだ。ライトワークは、常に流れている地。エネルギーワークは、その上で、詰まった人にだけ気合いで入れる動き。頭打ちしていない人には、いらない。
フェーズ8|言霊ガイダンス〔頭打ち/言葉を求めている時〕
言葉は、最後だ。
俺が修行のなかで授かった心得がある——「言葉は、一番最後にしろ。強すぎるから」。言霊は、力が強い。早く入れすぎると、相手が自分で気づいていくプロセスを、奪ってしまう。
だから、誰かが向き合っているクエストを感じた時、まず俺が、自分の中でそれを解く。解いて掴んだものを、言霊にして返す。外から答えを渡すんじゃない。その人が解こうとしているものの芯を、先に俺が掴んで、言葉にして差し戻す。
基本は、自分で解かせる。天才性は、本人の中にある。それを引き出すために、俺はできるだけ、手を出さない。
弧③|降ろして、閉じる
フェーズ9|祈り〔進行をリードする力〕
セレモニーが進むあいだ、場は動き続ける。
俺はここで、誰よりも強い祈りを持つことで、セレモニーの進行をリードする。祈りを、場と参加者に共鳴共振させていく。個々の反応に引っ張られず、全体を「よか」へ向けて動かし続ける。
その「強い祈り」が、空の純度から来ているのは、フェーズ4で書いた通りだ。
フェーズ10|神霊治療
カンボで、すっと吐ける人もいれば、そうでない人もいる。
コーチングで言う「スコトーマ(盲点)」が深くて、まだ自分でも気づけていないものを抱えている人。感情の抑圧が強くて、蓋をしている人。吐き切った後に、ずっと無視してきた心の偏りが急に表面化して、俺が見てきた限りでは、ぐっと揺さぶられる人もいる。
そういう人たちを、霊的なヒーリングと、祈りと、ライトワークで、よかへ導いていく。
「最小の介入」という軸がある。基本は、自分で解かせる。でも頭打ちした時は、いちばん弱い手から入れる。エネルギーワーク → 言霊ガイダンス → 神霊治療。後になるほど、深いところに手を入れることになる。神霊治療は、いちばん深いところに届く手だ。一人も取りこぼさないつもりで、ここまでやる。
フェーズ11|クローズセレモニー
フェーズ2で聞いた、最初の意図。それを、ここで回収する。
全員が、最初に立てた意図に対して、何かが動いたかを確認する。達成した人。実現に向かうプロセスが開いた人。抱えていた考え方が、いい方向に変わった人。——それぞれ違う形で、でも全員が「動いた」ことを確かめてから、閉じる。
意図の円環が、ここで閉じる。
4つの背骨
こうして並べてみると、このセレモニーを支えている背骨が、4つ見えてくる。
1. 空が、すべての地。 場を整える祈りの「空」の上に、すべての動きが乗っている。意図を手放した空の祈りこそが、いちばん遠くまで届く。
2. 神がかりは、二層でできている。 カンボ(身体に働く層)と、俺の祈り(魂に働く層)。精霊に任せるだけでなく、その上で俺が動き続ける。
3. 意図の円環。 フェーズ2で立てた意図を、フェーズ11で回収する。始まりと終わりが、意図で結ばれている。
4. 最小の介入。 基本は、自分で解かせる。魂の天才性を信じて、見守る。頭打ちした時だけ、いちばん弱い手から、順に。
このセレモニーが目指すもの
全員が「よか」になるまで、仕上げる。
「よか」というのは、ただ気持ちよかった、で終わる話じゃない。最初に立てた意図が、動く。抱えていたものが、何らかの形で変わる。魂の輝きが、少し取り戻される。
カンボの精霊は、働いてくれる。でも俺は、その上で動いている。空の祈りで場をリードし、光を送り続け、頭打ちした人を神霊治療で仕上げる。
全員が出ていく時に、「よか」な状態になっている——それを自分の役割として引き受けること。それが、俺のカンボセレモニーの、目指すところだ。
もっと深く知りたい人は、メディスンホイール を読んでください。カンボがどんな旅の中に置かれているのか、意図と安全確認の流れも含めて、そこに描いています。申込を急がせるためではなく、自分がどこから入るのかを知るためのページです。
※この記事はシャーマニズムの伝統的な実践と個人の体験を扱う読み物であり、医療行為ではありません。診断・治療・処方は行いません。カンボをはじめとするセレモニーは身体に強い反応を伴うことがあり、心疾患・妊娠中・服薬中など既往のある方、心身に不安がある方は、必ず医師など専門家にご相談ください。参加の可否は、事前の安全確認を前提とします。